Tatsh 1stアルバム「MATERIAL」発売記念 K-MASERA×Tatshスペシャル対談

BEMANIシリーズをはじめとした数々のゲームミュージックに限らず、メジャー流通から自主制作音楽まで幅広いフィールドで活動し、多くのコンポーザーに影響を与え続けているTatsh。

Tatshの音楽の師匠であり、これまでも多くのコンポーザーを世に送り出してきた、JBG音楽院のDTM作曲科専任講師であり作曲家の、北田陽一郎(K-MASERA)。

2011年10月27日に待望の1stアルバム「MATERIAL」の発売を記念して、Tatshと北田講師のスペシャル対談が実現した。

師弟、ミュージシャンとして10年来の親交がある2人の話は、DTM作曲、音楽理論、愛用のDAWソフトApple Logic Proの音作りにとどまらず、音楽人としての意識論にまで発展した。

1.「組曲」という意識はありました⁄(1st Album「MATERIAL」)

「MATERIAL」/Tatsh

K-MASERA: じゃああらためてー。

Tatsh: よろしくおねがいします。

K-MASERA: そういえば、Tatshオリジナルアルバムがっっっっっ!!!

Tatsh: そうなのでございます。今月の10月27日発売です。

K-MASERA: 題名は?

Tatsh: タイトルは「MATERIAL」にしました。「材料・素材」という意味ですね。

K-MASERA: お〜〜〜「物質」ですか?なるほどー

Tatsh: 僕の場合、作っている曲が多ジャンルに渡ってしまうので。それの共通項という意味で、「材料・素材」の意味を持つタイトルにしました。

K-MASERA: 今回、オリジナルアルバムを作ることになった経緯は?

Tatsh: KONAMI様の音楽ゲームに提供した楽曲が主軸なのですが、KONAMI様よりご依頼があって作ったという感じです。実は、TatshMusicCircleを始めたことから、いくつかのレコード会社からオリジナル・アルバムの話しを頂いていたのですが、今までの代表曲を集めると「音楽ゲームの曲が主体」になるのは当然のことだったので、コナミスタイル、beatnationレーベルから1stアルバムをリリースすることとなりました。

K-MASERA: 発売日は!?

Tatsh: 2011年10月27日に発売予定です。もうすぐです。

K-MASERA: 楽しみです!

Tatsh: ありがとうございます。

K-MASERA: というか、私も音源聞かせてもらっているんだよね。

Tatsh: そうですね 今回の対談にあたってということで。

K-MASERA: (笑)いろいろとありがとうです。

Tatsh: いえいえ。

K-MASERA: えっと、今回は全楽曲がBEMANIシリーズの収録曲ってことかな?

Tatsh: 全曲ではないですね。自主制作のTatshMusicCircleの楽曲からも収録しています。

K-MASERA: 何曲かは未発表オリジナル楽曲?

Tatsh: そうですね。3曲がオリジナル新曲ですね。

K-MASERA: おーーー!BEMANI曲は全部作り直しですか?

Tatsh: データを過去のデータから引用しているというのはありますが、基本作り直しですね。

K-MASERA: これ、大作のアルバムだよね。全15曲で何分だろう!?

Tatsh: 70分いかなかったくらいですね。

K-MASERA: ほぼCDパンパンって感じだ!

Tatsh: そうですね。僕としても70分近くのアルバムを作ったのは初めてでした。

K-MASERA: 普段、TatshMusicCircleだと一枚平均7〜10曲くらいだもんね。

Tatsh: そうですね。

K-MASERA: いやーほんとTatshマン盛りCDだね。

Tatsh: ありがとうございます。

K-MASERA: しかも内容が・・・作り込み半端ないよこれ!

Tatsh: 褒め過ぎじゃないですかね・・・。汗

K-MASERA: いやいや(笑)

Tatsh: 1曲目の「reunion」は自分にしかできない曲を作れた感が出たので、その辺は満足しています。

K-MASERA: いや、この作りこみはホント敬服するところで、なんか「組曲」っていう荘厳さを感じました。

Tatsh: おおー、それは意識しました!1曲目から4曲目までは、MAYAさんに描いてもらったジャケットの世界感の「組曲」という意識はありました。

K-MASERA: 「reunion」はまさしく「組曲」!Tatshテイスト「全盛り」みたいな!

Tatsh: いつか、1つのCDで「組曲」は作ってみたいですねー。

K-MASERA: うわー たぶん僕がやったらガリガリになりそう(笑)

Tatsh: あはははは。ダイエットに良い。

K-MASERA: 1曲目から、4曲目まではまさしくたたみ込める感じの全Tatshで、5曲目からちょっと雰囲気変わるよね?

Tatsh: そうですね、5曲目の「ALIVE」はTatshMusicCircleの曲で、自分がclubJBGで発表したい曲というテーマで作りました。

K-MASERA: おー、ちなみにボーカルがどこかで聞いた声のような!!

Tatsh: JBG音楽院にも通っている「サリヤ人」さんです。

K-MASERA: そうですね!「あの」サリヤ人です。「サリヤ人」。実はJBG音楽院で作曲をばっちり習って今はすごいことになっていたりしてます。

Tatsh: 「ALIVE」は、一生懸命作りましたねー。

K-MASERA: 「ALIVE」の2分40秒から、いままでのTatshに無かった響きが聞こえるんだけど!?ハーモナイズ使った?

Tatsh: これは、あなたが教えてくれた技法でございます。

K-MASERA: うひょーいい響きだー!って使いどころが完璧でございます。

Tatsh: ありがとうございます。リーピングとかもやったりしていますね。JBG音楽院でお勉強するとできるようになるはずです!(読者のみなさんへ)

K-MASERA: この曲、理論的にすごい攻めているんだけど、ポピュラーの歌物としてしっかり成り立っている所がすごい。

Tatsh: メロディーはわりと、普遍的なところを目指しているからかもしれないですね。

K-MASERA: それこそ「バランス」だよね。ハーモナイズ、リーピングアプローチとかとんでもないことやっているのにちゃんと口ずさめて覚えられちゃう。

Tatsh: ありがとうございます。

K-MASERA: 「Love Again」も。なんか安心して聴ける上質POPsで好きだなー。

Tatsh: 「Love Again」は、サビの頭で、音楽理論的にはわざと音をぶつけてますね。

K-MASERA: うんうん。11thアボイドからの3rdリゾルブだよね。

Tatsh: そうでございます!

K-MASERA: これ、効くんだよね〜〜〜〜サザンの「Tsunami」とかね。

Tatsh: そうですね、というか、先生から教わったこと満載ですね。

K-MASERA: いやはや・・・照れますわ でも、そういうアイテムをいくつ持てているかってことがまた重要だよね。

Tatsh: ですね。

K-MASERA: 「Trust」の展開がすごいんですけど!

Tatsh: こちらは前半部と後半部で別々のロジックファイルで作ったものになっています。

K-MASERA: いわゆるニコイチ(良い意味でね)。一粒で二度美味しい。

Tatsh: ありがとうございます。3曲目のロック・メタルテイストな曲は、「Tearsシリーズ」であったり、そういう曲を好きな人へ向けての曲になってます。

K-MASERA: これの3分50秒くらいからのバイオリンは生??

Tatsh: はい、生で録音していますね。

K-MASERA: うほっ、お金かけてるーーー!

Tatsh: 毎回は生で録音できないですけど、予算があったので。

K-MASERA: このテイストは打ち込みでは無理だもんなー。

Tatsh: けっこう生のストリングスって、打ち込みよりもアタックもあったりしますし。まぁ、あたりまえですけど、自然ですよね・・。

K-MASERA: 確かに、ギターも全面生ですか?

Tatsh: ギターもそうですね、ギターはTearsシリーズと同様にIMAJOさんというギタリストに弾いてもらってます。

K-MASERA: 弦ものはやっぱりナマがいいよねー!結構「これどうやってんの」ってサウンドがあったんだけど?

Tatsh: どこでしょうか??

K-MASERA: いろいろあるよ〜〜〜 「GENOCIDE」のイントロFX音は?

Tatsh: これは、ディレイとかでやってて、23歳のときに作った音そのままなので覚えてないです。

K-MASERA: (笑)同じく2分05秒くらいからアシッド303風味の音は?

Tatsh: これは、ESMですね!!

K-MASERA: おーーすんごい音してるねー!単体?

Tatsh: たぶん、単体な気がします。マウスでオートメーションぐりぐり書いた気がします。

K-MASERA: 今度Logicだけで頑張って出してみます(笑)

Tatsh: Logicの音源で作ってる音はたくさんあるはずですよ。

K-MASERA: うん。わかる!結構TatshもLogicらぶ♡だよね(笑)

Tatsh: らぶ♡ですね(笑)

K-MASERA: 「RED ZONE」の2分41秒からのシンセ刻みはLogic Pro9付属の「EXS24」?「ES2」?

Tatsh: これは「reFX/VANGUARD」ですね

K-MASERA:あ、泣く子も黙るVANGUARDかぁ。 最近LogicでVANGUARD音を出す研究してます(笑)

Tatsh: でも、メロディーを弾いているユーロビート・リードな音はLogic Pro9付属の「ES2」と「Roland/JP8080」の重ね音ですね。

K-MASERA: 音を重ねるって結構やるよね。

Tatsh: そうですね、結構やってますね。これはもう何度も使ってるので、たぶん、Tatshっぽい音になってるはずです。

K-MASERA: 「ELECTROGIC」のシンセメロ音は?「ES2」かなーって?

Tatsh: これは、データを引っぱり出さないと、何かはわからないですが、「ES2」だったような気がしますね。

K-MASERA: 「Pieces」の1分16秒からのハープ音ってどうやって打ち込んだ?

Tatsh: ペンを使って入力してました(笑)

K-MASERA: これ、スケールだよね?

Tatsh: ペンはペンシルツールでなく、普通のペンです。プリキュアの鉛筆だったかもしれません・・・。

K-MASERA: ???プリキュアの鉛筆で打ち込むの???

Tatsh: 手で弾かずに、プリキュア鉛筆で、リアルタイム入力して、それをMIDIで直した気がします

K-MASERA: え!?プリキュア鉛筆で鍵盤弾いたってこと!?

Tatsh: そうですね・・・汗

K-MASERA: ハープはプリキュア♡

Tatsh: ギターのスクラッチ音とかも、ピックじゃなくて、コーラの缶とかでやったりもよくしてますよ。

K-MASERA: すごいアイデイアだ!

Tatsh: 言われてみると、あまりDTM音楽誌では見かけないやり方ですね。

K-MASERA: 「Pieces」はハープのところだけキーCだよね?

Tatsh: 途中でいろいろキーが変わってる気がします。「Pieces」はストリングスが生で録音できるということで作った曲ですね。あと、曲のイメージはジャケットやブックレットのイメージに合わせたという感じもあります。

K-MASERA: 1:50からのヴァイオリンはほんと癒されるわぁー。

Tatsh: 今回のアルバムで、ヴァイオリン、ピアノっていうのはテーマの一つだったかもしれませんね。こういう曲はずっと、やりたいって思ってました。「Pieces」の中間部は輪唱を意識した気がします。

K-MASERA: なんか補完される感じです!他の曲でわりとハードな曲でも最後は救われるって感じがしますね。「癒し」「救い」ってテーマの根幹にあったのかな?

Tatsh: というよりも、ここは自由にできる場で、制約のない場でしたので、やったことのない雰囲気で全体を包んでみようみたいなとこがありました。

2.「個性」はわざと出すものではなく、「偶然」溢れてしまったみたいなのが良いような気もする」⁄(Tatshの音楽)

K-MASERA: なるほど。でも、ロックあり、ゴスありテクノありバラードあり、王道ポップスありって、本当にアルバム全体だとすごい多ジャンルでごった煮な印象をうけるかも知れないけど、全体がちゃんとTatsh色で統一されていると思います。要所要所でしっかりとTatshお得意のフレーズだったりサウンドだったり音色だったり。いわゆる手塚漫画のスターシステムみたいな感じかなぁ?

Tatsh: 色々なジャンルのCDになってしまうのは、今まで歩いてきた道なので、もはや引き返せないですね。

K-MASERA: でもどこを切ってもなぜかTatshになっているという(笑)

Tatsh: スターシステム的なアプローチも気づいたら、そうなってたってわけではなく、気がついたらそうなってたって感じですね。わざと個性を出そうってはあまりやらないです。「個性」はわざと出すものではなく、「偶然」溢れてしまったみたいなのが良いような気もするので。それこそ、clubJBGで北田先生がおっしゃるような「あざとい」になってしまうかもしれないですね。

K-MASERA: なるほど!ピアノフレーズとかリズム隊の高速刻みとかアルペジオとかがTatshサウンドでは印象的だなぁ。アルペジオはTatshアルペと呼びたいくらいです!

Tatsh: そのアルペジオはまさに、音楽ゲームでやって、プレイしがいのある部分ですね。

K-MASERA: あれは根性の打ち込み?アルペジエーターじゃあれ出ない気がするんだけど・・・

Tatsh: アルペジエーターではないですね、MIDIで打ち込んでますが、いつも同じになっちゃうので今後は工夫していきたいとこですね。どっちかっていうと、IIDXの7つの鍵盤を意識して打ち込んでますね。

K-MASERA: いやいや、あれは期待しているリスナー多いと思うよ!魂のTatshアルペ。

Tatsh: あ、難しいところですけど、アルペジオなのに、メロディーぽく印象に残るラインにするようには意識しているかもしれないです。何度も繰り返し聞いては、修正、修正って感じで作っています。

K-MASERA: だから印象的なのか・・・こんどパクらせてもらいます(笑)

Tatsh: どうぞ(笑)どっちかというと、台詞がごちゃごちゃ入ってるところは、あまりパくられたくないとこですね(笑)

K-MASERA: 台詞といえば「IMAGE」と「ALIVE」に両方入ってるけど意図は???

Tatsh: これは、こういうの入るのが好きなだけです。

K-MASERA: あ!リンクしてるのかと思ったー。

Tatsh: もともとは、TatshMusicCircleのCDで福山さんというボーカリストが出したアイディアなのですけど。

K-MASERA: うん。

Tatsh: すごく気にいって、これからも何度もやりたい手法ですね。

K-MASERA: これ、すごく気になるからスーって曲に入っていっちゃうよね。

Tatsh:「IMAGE」と「ALIVE」は、イメージがリンクしているというよりも、手法がリンクしてる感じですね。

K-MASERA: なるほどなるほど。そうそう「透明なエモーション」のボーカルすごいですねー!絡みつくアーティキュレーションが耳についてはなれない

Tatsh: これはトラックに合わせたボーカルトラックに仕上げたという感じです。「透明なエモーション」のAメロのシーケンスは、先生が好きなLogic Pro9付属の「EXS24」デフォルトのものですよ。美しきサイン波です。

K-MASERA: そうですね!僕が「EURO-ROMANCE」でも使った美しきサイン波ですね(笑)

Tatsh: バックトラックとしてはBPM速いエレクトロというイメージで作りました。

K-MASERA: 本当にTatshてんこ盛りのアルバムですね!そんなTatshが詰まりに詰まったフルアルバム「MATERIAL」2011年10月27日発売です!

Tatsh: 是非聞いてください!という内容には仕上がったので、是非、みなさんよろしくどうぞ。

K-MASERA: 発売はもう一度ドウゾ!!

Tatsh: 2011年10月27日です!!!!!!

K-MASERA: みなさんよろしくです!!!

Tatsh: あ、発売日イベントもありますので、来てくださいー。

K-MASERA: どこで!?

Tatsh: 六本木ミッドタウン。コナミスタイル店舗でサイン会行います。

K-MASERA: 何時からでしょう!?

Tatsh: 2011年10月29(土) 13時00分 〜 14時30分です。

K-MASERA: おー!お世話になっているJBG生徒は必ずいくように!

Tatsh: ちょうど、北田先生のセミナーの日ですね・・・。

K-MASERA: 私も10月29日(土)16時00分〜19時00分まで無料DTMセミナーやります。内容てんこ盛りで!29日の無料セミナーは予想を上回る応募が殺到したため、「追加の無料DTMセミナー」をやります!日にちは11月12日(土)15時30分〜18時30分です。皆さんが知りたいDTMや作曲の質問にも答えますので、JBG音楽院の申し込みページから申し込んでください。29日のセミナーに参加しないJBG生徒は、ぜひ「MATERIAL」の発売日イベントに行ってみてください!

Tatsh: では、ぜひ、来てくださいまし。北田先生のセミナー、29日は16:00〜19:00までですか。あら、ギリギリ僕も間に合うかもしれないですね。

K-MASERA: お!もし間に合ったら顔出して下さいまし。たぶんJBGのレッスンルームはパンパンになっていると思いますが・・・

Tatsh: はい、是非♪

3.「自分自身の音楽」を作るときと「受注された曲」では、一生懸命の方向が少し変わってきますね。⁄(お金をいただく音楽を作るとはどういうことか)

K-MASERA: えっと、JBG音楽院でTatshのセミナーをやりますね。

Tatsh: やりますね、もう何度目でしょうか。6回目くらいになりますかね?

K-MASERA: 勉強会も含めると今回で7回目ですね。

Tatsh: 回を追うごとに自分自身としても、小慣れてきた感じはあります。

K-MASERA: 今回は2011年11月3日12時00分〜14時00分ですね。

Tatsh: はい。非常に楽しみです。

K-MASERA: 今回のセミナーの内容はどんな感じでしょう!?

Tatsh: 作曲家において、「音楽を作ること」「音楽でお金をもらうこと」について、お話しをするのが前半で、後半は即興作曲という名のもとに、トラックをゼロから作りながら、思うことを喋っていこうとおもってます。

K-MASERA: 「音楽を作ること」「音楽でお金をもらうこと」ってかなり深い内容になりそうな・・・これを見てもらっている方のために、少しだけヒントを!?

Tatsh: 僕としても、なかなか、簡単に答えが出る部分ではないのですが、色々考えて、一つの回答を受講者に伝えるという作業は、自分自身の再確認したりしてます。

K-MASERA: 大事なことの中で何かひとつ上げるとするとなんだろう!?

Tatsh: あたりまえなことですが、「一生懸命やる」じゃないでしょうか・・・・。

K-MASERA: うわ!そこ一番深いね。

Tatsh: 「一生懸命」に限りがないということは、言おうかなと思っていた内容です。でも、こういう「お仕事」に関する心構えって、世の中にたくさんの本が出ているので、そういうのを日頃から読んでいれば、それで半分は問題クリアな感じもします。

K-MASERA: うん「一生懸命」って確かに限りない・・・でも「一生懸命」やり過ぎると聴いてもらって「楽しい」音楽から外れるってあるでしょ!?その限界点っていうのかな!?がんばる上限ってTatshの中では製作するときにどうやって見極めている?

Tatsh: たしかにそうですね。「一生懸命」が聞き手にとって、心地よい「音楽」を届けることに気が向かなくなってしまうケースはありますよね。「自分自身の音楽」を作るときと「受注された曲」では、一生懸命の方向が少し変わってきますね。

K-MASERA: うん、すごくわかる。かえって「受注された曲」のほうが楽なこと多くない?「自分自身の音楽」だと全部自分が基準点だからハードル設けるのが難しいっていう感じ。

Tatsh: おっしゃるとおりかもしれないですね、、でも、「受注された曲」でも、自分が知らなかったテリトリーの曲だと、研究に時間かかりますね。

K-MASERA: ああー、ムチャ振りされると困るよね。「民族っぽく」なんて曖昧なお題だとどこの民族だよっっっみたいな(笑)

Tatsh: ムチャ振りは僕もありますね。でも、そういうときはお仕事の曲とわりきって、舵はクライアント様に握らせてしまうことは多いです。もちろん、良い方向になることがだいたいですが、ときには自分の意見とは違ってしまって、ストレスが溜まるときありますね。

K-MASERA: そこはわりきるって所がミソだね。

Tatsh: そういうときは、TatshMusicCircleのCDであったりで、発散していたりしますよ。

K-MASERA: なるほど、還元される楽曲!「一生懸命」に絡むことだけど、例えば依頼曲がポピュラーよりで売れ線の時とかあるじゃない。

Tatsh: はい。

K-MASERA: JBGの生徒には「クリエーターとして目線を落として曲を書け」って教えているんだけど。これを「がんばらないで曲を書くんだ」って勘違いする人が結構いる気がする。使える音楽技法が限られる分その中で一生懸命答えを探さなきゃいけないんだけど、「使える音楽技法を限る」=手を抜く って考えちゃうみたい。

Tatsh: はい。「ボピュラーよりで売れ線」というのは、発注テーマとしてはすごく難しいですよね。最近、リスナーのことで意識している点が1つあるのですが、話してもいいですか?

K-MASERA: うん。

Tatsh: 音楽を「1000曲」聞いたことある人と、「100曲」しか聞いたことない人では、聞こえ方が違うと思うのです。

K-MASERA: うんうん。

Tatsh: 僕自身も、小学生や中学生のときには、単純な響きの音楽がカッコ良く聞こえて、複雑な響きはカッコ良く聞こえない時期があったので。

K-MASERA: うん。リスナーの習熟度だよね。

Tatsh: こないだの「clubJBG」で、荒木先生(JBG音楽院DTM作曲科 初心者コース担当講師)の8小節のメロディーにコードを付けるっていうのをやったじゃないですか?

K-MASERA: はいはい

Tatsh: ああいう風に、音を出さずにコードをつけるってことを、依頼されて作っているREMIXの曲でやってみたんですけど、

K-MASERA: うん。

Tatsh: テンションリゾルブしすぎて、これじゃリスナーはしっくりこないだろうなと思ってシンプルな響きに直してやったりしています。

K-MASERA: なるほど。でもシンプルな響きって難しいよね。シンプルだけどダサくないっていうのが。

Tatsh: そうですね でも、自分としてはちょっとダサいなって思う曲でもウケてしまうときがあるので、さじ加減が難しいですね(笑)

K-MASERA: ダサかっこいい!clubJBGの話が出たので読んでいる人のために解説すると・・・JBG音楽院ではプロクリエーターコースの修了生を対象に、月一回「clubJBG」という音楽ゼミを開いています。そこにいつもTatshがスーパーバイザーとして参加してくださっています。いつもありがTatsh!!

Tatsh: ありがTatsh!!

K-MASERA: そう、それで話を戻すと、シンプルな響きにするって難しい響き=高度な音楽理論、技法を使わないってことだけど、それを「手を抜く」って捉えちゃう人が多いって感じるんだ。

Tatsh: はい。おっしゃるとおりですね。「これくらいの音楽理論のレベルで作ろう」と意識して作るよりも、作った後に気がついて、アナライズしていったら簡単な響きだったっていうのが、作る上での一つの正解かもしれないですよね。

K-MASERA: 確かに技法的には手を抜いているかもなんだけど、シンプルな響きでかっこ良く聴かせるところを「一生懸命」やるんだってところをもっと気付いてほしいなーと思う。

Tatsh: 昔に、「カートくんマーチ」っていうのを作ったじゃないですか。あれはあれで、一生懸命やりましたよ。

K-MASERA: おーーーーーー覚えてる!某a社関連のお仕事でした。あれはいい仕事だったよね!だって一度聴いて忘れないもん。

Tatsh: ありがとうございます。あのときも、手を抜くって気持ちはぜんぜんなかったですね。

K-MASERA: つか、まだ覚えている(笑)「ファーーーーソーーーーファーーードーーーーーファーファーソーソーファー(ぷっぷー」

Tatsh: そういう曲ですね。

K-MASERA: あの破壊力は半端無かった・・・

Tatsh: なにげに、ABからサビで転調してました。たぶん、FからCの転調だった気がします。

K-MASERA: そう!シンプルだからこそそういうフック、ギミックが必要なんだよね。必要だからこそ転調するんだってことが大事。

Tatsh: そうですね、あとは自然にじゃないでしょうかね。

K-MASERA: とまぁ、こんな音楽の話題をてんこ盛りにしていつもclubJBGでお話されているわけですね。

Tatsh: はい。今度、カートくんマーチをみんなに聞いてもらうのも面白いかもしれないですね!

K-MASERA: それ面白い!ぜひ聞かせてあげて下さい。 11/3のTatshセミナーでもこういった制作上のキモみたいなところに話しの焦点がくるのかな?

Tatsh: 理論的なところは、北田先生がたくさん生徒さんらに教えているので。

K-MASERA: うんうん

Tatsh: 僕はミックスや一つ一つのトラックの音作りで、最初にどういうふうに作って、重ねていくかみたいなところをやろうかと思ってます。

K-MASERA: 実際の作る過程を見せちゃう。

Tatsh: そうですね。

K-MASERA: 普通絶対見られないところですね〜

Tatsh: 時間内でどれくらい進むのかは、その日の調子もあるのでなんともいえないですが、なんとなくくらいは完成させたいですね。

K-MASERA: すごい楽しみです!

Tatsh: あとは、作業のスピードなんかはいつもと同じくらいの速さでやっているのを見せられるようにがんばりたいですね。

K-MASERA: それだけでも今回のセミナーは必見ものだとホント正直思ってます。っていうかそれ、すごい冒険企画だよね!

Tatsh: まぁ、でも、北田先生が入学説明会でいつもやっているのを何度も見ていますので、それを参考にしながらですかね。

K-MASERA: フォローありがとうです♪あれ、ゾーンに入っちゃうと目の前の人たち全く見えなくなっちゃうんですよ

Tatsh: (笑)僕もゾーンに入れるようがんばります。

K-MASERA: 完全に自分の世界で説明を忘れてしまう(笑)

Tatsh: あと、「楽曲との対話」ってこともどういうことなのかもできそうな気がします。

K-MASERA: それも大事だー、「楽曲との対話」。曲がだんだん作れるようになってくると訪れる結構大きな「壁」ですね。

Tatsh: そうですね。

K-MASERA: その辺掘り下げちゃうと大変なので、その核心は是非セミナーで(笑)

Tatsh: 了解です。

4.「みなさん積極的に僕の周りの仕事をかっさらって、売れたら僕に還元してもらいたいです(笑)」⁄(JBG音楽院受講生、修了生、入学希望者へのメッセージ)

K-MASERA: しかし、TatshにはいつもJBG音楽院の生徒がお世話になっています。

Tatsh: いえいえ。こちらこそ、飲み会も、clubJBGもとても刺激的です。今までにも、何人かの修了生の方に手伝ってもらったりしていますからね。

K-MASERA: これを読んでくれている皆さんにご説明すると、Tatsh氏にはclubJBGでのスーパーバイザーとして参加していただいている他、JBG音楽院の生徒にいろいろな仕事を振ってくれたり使ってくれたり、本当にお世話になっているのでございます。

Tatsh: 意外と、僕の周りには、僕だと予算が足りない案件などもたくさん転がっていますからね。僕もそういう案件を断ってしまうよりかは、誰か他にやってくれる方がいるのは良いことだと思っています。

K-MASERA: これからいろいろ告知できると思うのですが、サリヤ人をはじめ、LV.4君やAILE君など、Tatsh氏のおかげで仕事ができるまでに成長した生徒をJBG音楽院から輩出できるまでになれたこと、本当に感謝です!

Tatsh: 他の方たちにも、どんどんチャンスを掴んでいってもらいたいですね!でも、やっぱり可愛げのある方には、実力はなくともチャンスはあげたいですね。逆に、実力があっても可愛げのない方には、なかなかチャンスはあげれないっす。

K-MASERA: そうですね!僕の方ではチャンスをモノに出来る実力あるクリエーターをこれからもJBG音楽院でガンガン育てていきたいです。

Tatsh: だいぶ育ってきてますよね。

K-MASERA: うん!でも、まだまだですよー。そして、いまTatshが言ってくれたんだけど、業界で受け入れられる人間性も教えていけたらと思っております。

Tatsh: 是非、みなさん積極的になってもらって、どんどん僕の周りの仕事をかっさらって、売れたら僕に還元してもらいたいです(笑)

K-MASERA: すごくみんな頑張ってくれているんだけど、僕もTatshも進化し続けますからね(笑)追いつかれるわけにはいかない!

Tatsh: 僕も走り続けたいっす。

K-MASERA: これからも頑張って走り続けましょう!そしてJBG音楽院も僕とTatshと共に走り続けていきます!!

Tatsh: YES!

K-MASERA: Tatsh、今日は長い時間対談ありがとうございました!

Tatsh: いえいえ、北田先生こそ、お疲れさまでした。

K-MASERA: また、何かの企画でお話できたら嬉しいです。

Tatsh: はい♪

K-MASERA: 今度はU-STREAMとか生放送でもやりましょう!

Tatsh: はい、是非。

K-MASERA: では、この辺で・・・お疲れ様でしたっ。ありがTatsh!!!

Tatsh: ありがTatsh!!!!

K-MASERA(北田陽一郎) Profile:
プロフェッショナルミュージックスクールアムバックスにて穂口雄右に師事。
綿密な音楽理論とLogicProを駆使したサウンドメイキングに定評がある。同校およびエイベックスアーティストアカデミー講師を経て現在はJBG音楽院専任講師。
「Notator Logic」の頃からのLogic愛用者であり、シンセサイザーの達人。LogicProを駆使したゼロから作り上げるシンセサウンド、綿密なリズムトラックのサウンドメイキングや、ミックステクニックに定評がある。
現在も「K-MASERA」名義で作曲家としても活動中。
・JBG音楽院DTM/作曲科講師:北田陽一郎
http://www.jbg-ongakuin.com/instructor/kitada/
Tatsh(清水達也) Profile:
10代の頃よりTV番組やCM音楽などの制作を開始し、以降、コナミ株式会社(現・コナミデジタルエンタテインメント)に入社。
BEMANIシリーズのゲーム制作、楽曲制作、サウンドディレクションに携わり、(『beatmania IIDX 13DistorteD』まで)、他のBEMANIシリーズにも楽曲を提供。
2008年からは個人事務所TatshMusicCreativeを立ち上げ、TVアニメ主題歌・ゲーム主題歌の楽曲提供を行う傍ら自主制作のTatshMusicCircleオリジナル音楽シリーズ、東方projectアレンジCDシリーズを発表。
2011年10月27日には待望の1stアルバム「MATERIAL ⁄ Tatsh」をコナミスタイルより発売。
・コナミスタイル特設ページ
http://www.konamistyle.jp/sp/tatsh_material/index.html?style=DB
JBG音楽院専任講師である北田陽一郎(K-MASERA)の弟子である。
・Tatshのブログ(TAT)/
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